学校への往復は、毎日O太郎と一緒。
通学中に色々話すうちに
彼は一歳年上だけど、一浪で国公立大学を合格し、今、私と同じ4年生だということ、
就職は外資系企業で内定が決まっていて
仕事で英語のスキルが必要なためこの語学研修に来ていることなど、彼についてわかっていきました。
日本を初めて、しかも一人で飛び出した私は
英語も満足に話せないのもあって、自分で思っている以上に心細く
私よりも英語が話せるO太郎に、頼りきっていました。
学校の休み時間にお互いの教室に行き来して過ごしたり
学校の帰り、家に帰る前に二人で寄り道して買い物したり。
週末に、語学学校の友達と郊外の観光地に行こうという話になれば
その時は自然と、O太郎も一緒。
私の中で彼の存在が大きくなるのに、そう時間はかかりませんでした。
気づけばある時から、二人きりでいる時は、手を繋ぐようになった私たち。
自分は、そのうちO太郎の彼女になるのかな〜、なんて思っていました。
ところが、ある学校の友達から、O太郎は日本に彼女がいることを聞いて衝撃!
確かに、「好き」だとか「付き合おう」とかは、「彼女はいない」とは言われてないけど。
実際、学校の他の友達にも、私たちは付き合ってると思われていた位だったし
私も勝手に、すっかりその気になってました。
誠に勝手ではありますが、裏切られた感が芽生えてきて
私の中でO太郎とは距離をおこう、と思うようになりました。
もちろん手を繋ぐこともしないし、
帰りも何だかんだ言い訳して、一緒に帰るのを避けたり。
そういう時に限って、トラブルが起こるのです。
通学バスがストライキで来ないため、違うルートで帰らなければならなくなり
英語がまだカタコトだった私は四苦八苦。
何とかいろんな人に聞いたりして、かなり遅い時間に帰宅しました。
またある時は、学校帰りに寄った街で迷子になり
スラム街に迷い込んでしまったことも。
明らかに他の通りとは違う雰囲気で、海外慣れしていない私でもすぐにわかりました。
そして歩いている途中、異様な群衆があって、その中の一人に捕まえられそうに!
ギリギリ逃げられましたが、本当に怖くて怖くて、ただひたすら走って駆け抜けました。
何とかスラム街を脱し、安全な場所に辿り着いた時は
ほっとして気が緩んだのか、人目も憚らず涙が止まらなくて。
そんな時、やっぱりO太郎と一緒にいたいと思ってしまいました。
彼女もいるし、また一緒に過ごして仲良くなったら
好きになって、自分が辛くなるかもしれない。
そう思って離れたけど、離れてみて
カナダで楽しく過ごすには、彼が必要だと思ってしまいました。
カナダにいるのも1ヶ月限りだし、その間は割り切ってO太と過ごそう、
でもカナダにいる間だけ、日本には引きずらない。
そう決めて、またO太郎と一緒に過ごすことを決めました。
カナダに来てそろそろ1ヶ月が経とうとした頃
学校のみんなも帰国が迫ってきていたので、みんな日本での連絡先をするように。
しかし、私たちは連絡先は交換せず、それぞれカナダを離れました。
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